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系統用蓄電池と即時償却(特定生産性向上設備等投資促進税制)

今回は最近問い合わせの多い蓄電池の即時償却についてです。
令和8年度税制改正大綱において、「特定生産性向上設備等投資促進税制」の創設が示されました。即時償却または税額控除7%という異例の措置内容に加え、中小企業者等は投資下限額5億円から適用可能とされており、再エネ・系統用蓄電池に取り組む中小事業者にとって極めて有力な選択肢となります。

1. 制度の全体像

本税制は、高付加価値な国内投資を促進する目的で創設されました。措置内容は、対象設備につき即時償却または税額控除7%(建物・構築物等は4%)のいずれかを選択適用できるものです。

適用要件として、投資利益率(ROI)15%以上かつ投資下限額35億円(中小企業者等は5億円)が設定されています。計画提出期間は3年、税制措置期間は最大5年と長期にわたります。なお、適用には主務大臣による計画確認が必要な計画認定型である点に留意が必要です。

2. 中小企業の再エネ・蓄電池事業との親和性

中小企業者等向けの投資下限額5億円という水準は、系統用蓄電池や中規模太陽光プロジェクトの実勢投資額と非常に親和性が高い設定です。たとえば系統用蓄電池1基だけでも投資額5億を超えるケースがあるようです。もしくは低圧系統用蓄電池をバルク購入するという事も考えられます。いずれにせよSPCや事業会社単位での申請を通じて十分に射程に入ります。

また、容量市場・需給調整市場・卸電力市場を組み合わせた収益モデルにより、ROI15%の達成可能性もあります。中小企業にとって特に意義が大きいのが即時償却の効果で、初年度に投資額全額を損金算入できるため、資金力に制約のある中小事業者の初期キャッシュフローが劇的に改善し、投資回収がグッと早まります。

対象設備の範囲も広く、蓄電池本体・PCS等の機械装置にとどまらず、監視制御システム等の器具備品、変電・受電設備や架台・基礎等の構築物、充放電制御や市場予測アルゴリズム等のソフトウェアまで、プロジェクト一式が対象となり得ます。

3. 実務上の留意点と申請準備

本件は税制としては既に成立していますが、経産局等からの認定を取得するにあたって、その申請開始がまだ始まっていません。申請開始は今後数ヶ月以内が想定されており、準備期間は限られています。事業計画ではROI15%の蓋然性を定量的に示すことが鍵となり、市場収益見通しの精緻化が不可欠です。また、国・自治体の補助金を併用する場合、補助金額を控除した残額が税制適用の取得価額となる点にも注意が必要です。

即時償却と税額控除7%の選択は、当期利益水準・繰越欠損金の状況・将来の課税所得見通しを踏まえた総合判断となります。中小企業の場合、課税所得規模との兼ね合いから即時償却が有利となるケースが多いものの、SPC組成スキームでは税額控除の方が機能する場面もあり、案件ごとの精査が必要です。

ご相談について

弊社では蓄電池の問い合わせが多いことから下記の専用のHPを作成しております。本制度の活用可能性についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。

蓄電事業・投資促進税制 会計税務サポート


【ご留意事項】
本税制は制度の詳細(政省令等)が現時点では公表されておらず、具体的な適用要件・手続き等は今後明らかになる予定です。 蓄電事業においても本税制を活用できる可能性があり、当事務所では最新情報を随時フォローし、 適用可否の検討・事前準備を含めたサポートを行ってまいります。